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鍼灸治療と認知症のお話(つづき・・・)

  • 鍼灸師科

鍼灸師科の大石です。

前回と同様、鍼灸と認知症のお話です。

今年の1月に開催されたG-QPDの講座(詳しくは「鍼灸師ができる認知症へのアプローチ」を参証)では、
浦安市の有料老人ホーム舞浜倶楽部にて実習が行なわれました。
実際に軽度~重度認知症の利用者と接し、施設スタッフや患者家族の話に触れ、現場の空気を感じる事ができました。

体験談として患者家族の方からは、「鍼灸治療は、その人に合う、その人の為の治療であると感じました。
そして、鍼をしていないときの“会話”も治療のひとつであると感じました。」と話をしていただきました。
鍼灸を知らなかった方からの言葉は、鍼灸師として襟を正されるものであり、新たに気づかされる内容でした。

この認定講座の中で兵頭明先生は何度もこうおっしゃっています。

「認知症は現在の医学では治りません。薬や方法がないのです。しかし、中医学的な考え方を応用して所定の鍼治療を行なうことで、
認知症の予防・進行を遅らせることや中核症状の一部改善や周辺症状の緩和・改善をはかることは充分に可能です。
また、患者本人の苦痛の緩和だけでなく、ご家族の介護負担軽減の面においても大きな社会貢献が期待できます。」

*中核症状
記憶障害と認知機能障害(失語・失認・失行・実行機能障害)から成る。
これらは神経細胞の脱落によって発生する症状であり、患者全員に見られる。病気の進行とともに徐々に増悪する。

*周辺症状
幻覚・妄想、徘徊、異常な食行動、睡眠障害、抑うつ、不安・焦燥、暴言・暴力(噛み付く)、性的羞恥心の低下(異性に対する卑猥な発言の頻出など)、時間感覚の失調、など。

残念ながら、認知症の鍼灸治療はあまり世に知られていないだけでなく、RCT等の科学的なデータがまだまだ少なく、
エビデンス(証拠)を求められても戸惑ってしまうのが正直な現状です。
しかし、鍼灸治療を受けた患者に関わる施設スタッフや患者家族の目の前で起こった事は真実であり、何よりの証拠です。

私自身、6年前から認知症の祖母を持つ患者家族となりました。
悲観してしまう現実を目の前にし、生きていくことを諦めない日々を作っていくために何が必要なのか。
認定を受けるには、これからも実習を重ねなければいけませんが、鍼灸師として医療と施設の連携が円滑に行なわれる場を
増やし、人材を育成していくことで、地域社会に貢献できると確信しています。

社団法人老人病研究会 認知症Gold-QPD育成講座ホームページ

認知症を知るホームページ

舞浜倶楽部ホームページ

主に鍼灸科2部(夜間部)の授業を担当。
鍼灸師の資格取得後は2年間の中国留学も経験。中医学(中国の医療)の研究にも積極的に取組んでいる。
現在、認知症認定鍼灸育成講座(G-QPD)に参加し、認知症に対する鍼灸アプローチの研究を重ねている。

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