BLOG
ブログ

スペインの鍼(はり)
- TOPICS
前回、2月に私が参加したFIFAのレフェリーアシスタントプロジェクト(RAP)の報告をしました。
その中で、私と同じメディカルチームを担当したスペイン人が鍼を使っていたことに触れました。
今回はそのあたりをもうちょっと詳しくお話していきます。
今回のプロジェクトにメディカル担当として参加したのは私を含めて4人。
スイス人でフィジカルセラピストのマリオ氏。
そしてプリミーとエドというスペイン人2名に私を加えた4人のチームです。
スペインの2人はともにフィジカルセラピスト、いわゆるPTだったのですが、
この2人のうち、プリミーがケアの手段として鍼をよく使っていたのです。
「スペイン人が鍼なんて打てるの??」と心配に思う人もいるかもしれません。
ところが私が見る限り、彼らはヘタな日本人よりよっぽど先進的な鍼治療を行っていました。
スペインの中にTCM(Traditional Chinese Medicine=伝統的な中国医療)という学問領域があり、
彼らはそれを大学で学んだそうです。
そのため、彼らが使うのは中国鍼です。
私が普段使うような鍼よりは何倍も太い鍼を使うのが特徴です。
これは治療を受ける側にとってはかなり痛いのですが、効果はしっかりある治療方法です。
彼らの鍼治療の様子です。写真で見ても分かるように、とても太いのが中国鍼の特徴です。
さて私が感心したのが、彼らの治療方法です。
先ほど「先進的な鍼治療」と述べました。
例えば鍼治療を行う前に、彼らはエコーを取ります。
きちんと筋機能の状態を評価し、適切なアプローチ方法を模索するのです。
こういったことは日本ではあまりやりません。
彼らは自分たちが学んできた西洋の医学に、東洋の医学をバランス良く取り入れ、
最適な治療方法として確立していたのです。
彼らと一緒に仕事をしてみて、「日本人はもうちょっと勉強しなくてはいけないな」と強く感じました。
ちょっとスペインをなめていましたね(笑)。
彼らが東洋医学を勉強するように、我々もまた彼ら(西洋)の医学をきちんと学ばなくはならないのです。
日々勉強ということです。
実は現代の医学において、ここが大きなテーマでもあるわけです。
科学的な研究は進み、西洋医学は発展してきました。
我々が伝統的に用いてきた鍼などの治療方法も健在です。
ただ、お互いがそれぞれに活動する時代は徐々に終わりつつあります。
ドクターといかに協力して活動できるか。
お互いの治療方法をうまくブレンドさせ、選手や患者にとって最適な治療法を提供できるかどうか。
そういった「メディカルチーム」をいかに作っていけるかどうか。
今後の医療界における大きなテーマです。
スペインの2人との活動を通じ、そんなことを感じることができたプロジェクトでした。
今回のプロジェクトでメディカルを担当した4人です。右からエドとプリミーのスペイン人2人。そしてマリオ氏。一番左が私(妻木)です。
スポーツの可能性を広げる医療のプロになる!
東京メディカル・スポーツ専門学校