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スペイン FIFA RAP(Referee Assistant Project)活動報告
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みなさん、こんにちは。
長い間学校を空け、ブログもお休みをしていました。
実は2月1日から約半月の間、私はスペインのラスパルマスという地で、FIFAが主催するレフェリーアシスタントプロジェクト(RAP)に参加をしてきました。
今回はそちらのご報告をさせて頂きます。
スペイン・ラスパルマス
今回のプロジェクトが行われた場所は、スペインのラスパルマスという場所でした。
大西洋上にあるスペイン領カナリア諸島の中でも最大の都市で、地図で見るとスペイン本土よりも、どちらかというと西アフリカ(モロッコ)に近いイメージがあります。
避寒地として有名な温暖リゾート地で、北欧の人々が寒さをしのぎにやってくる、まさに“楽園”のような島です。
今回はその暖かい土地で、FIFAのプロジェクトが実施されました。
ラスパルマスの海岸。大西洋に浮かぶ高級リゾート地です。
2010年南アフリカW杯に向けて
今回の活動の目的は以下の2点でした。
(1)2010年南アフリカW杯に参加するアシスタントレフェリーの選考(ヨーロッパ・アメリカ地域)
(2)選抜アシスタントレフェリーのレベルアップ
上記の2点が今回の活動の主たる目的です。
昨年秋には同じような活動がアジア(シンガポール)でも実施されています。
W杯を目指して選手が各地で予選を戦うように、それぞれの国を代表したレフェリー達もW杯に参加するために、ある一定の試験をクリアしなくてはならないのです。
今回、私はその活動をサポートしてきました。
メディカルチームとしてのサポート
レフェリーをサポートする我々のプロジェクトは、全部で5つのチーム・役割で構成されています。
技術的な指導をする「テクニカル(3人)」、
体力、筋力などパフォーマンス向上を目指す「フィジカル(4人)」、
心理面のコントロール方法を指導する「メンタル(2人)」、
負傷者のケアや予防を任される「メディカル(4人)」、
心と身体をトータル的に結びつけ、自分の力を発揮できるようにする「エナジーパフォーマンス(1人)」、
以上の合計14名がそれぞれの役割を任され活動をしてきました。
この中で私が担当したのは「メディカル」の領域。
ケガの評価・予防などを鍼やマッサージを用いて行ってきたわけです。
このプロジェクトには日本人では私の他にもう1名、内海俊雄さんという方も参加しています。
内海さんは上記のうち「フィジカル」の役割を担当されました。
私と同じメディカルを担当したマリオ氏(スイス)の活動の様子です。
レフェリーの身体のバランスチェックをしています。マリオ氏は昨年末にTMSで講演をしてくれました。
新しい領域“エナジーパフォーマンス”
今回、おもしろい発見だったのが「エナジーパフォーマンス」という部門。
先ほど役割紹介をしましたが、14名のサポートチームの中でたった1人が受け持った役割です。
これは一体どんなことをやるかというと、例えば太極拳などを用いた訓練を行うのです。
実に東洋的な取り組みですね。
「FIFAのプロジェクトで太極拳?」
と意外に思う人も多いかもしれません。
実はレフェリーの技術力は現在、ほとんどの国でしっかりと整備・訓練され、一見すると大差がないような状況になっているのです。
こうなってくると、次にポイントになってくるのが自分の持っている力・気・集中力をどんなときでも100%発揮できるかということにかかってきます。
このエナジーパフォーマンス担当のスタッフは、個々が持っている潜在的な力を高確率で発揮できるよう、サポートしているわけです。
FIFAではこんな役割を持った人もプロジェクトの一員なのです。
陽気で勉強家のスペイン人
スペイン人のイメージは「情熱的」だとか「陽気」だとかそんなイメージを持たれている方も多いかと思います。
確かにスペイン人は陽気です。
いつも元気です。
びっくりしたのが、彼らは良くワインを飲みます。
それも仕事の前に飲むのです。
日本では考えられませんよね。
身長もみんな2mくらいありました…。
ただ、陽気さと共に私が印象に残っているのは、スペインの人はみんなとても熱心に勉強されています。
自分達と違う文化圏である、我々アジアのこともすごく良く調べています。
メディカルチーム4人のうち2人がスペイン人だったのですが、彼らも鍼を打つんです。
結構バンバン打っていました(笑)。
また、先述したエナジーパフォーマンスの担当スタッフも実はスペイン人が担当していたのです。
自分達の知らない領域を無視することなく、取り入れられるものは取り入れていく。
そういう柔軟な姿勢がスペインの人からうかがえました。
こちらは現地の方がもてなしてくれたスペイン名物パエリア。フライパンの大きさからして日本とは違いますね。
世界は広い!英語を覚えよう
スペインに限らず、今回のような国際的な活動に参加するといつも思うのが「世界は広い!」ということ。
様々な言語・文化・宗教を持った人と関わることは、自分の人生に大きな刺激を与えてくれます。
人とのつながりが大切な財産になっていきます。
みなさんも、ぜひ国際的な舞台で活躍できるような人材になってください。
ただし、国際的な活動をする以上「英語」は避けて通れません。
“English is the language of football”という言葉があるくらいです。
みなさんも若くて頭が柔軟なうちに、英語を覚えておきましょう。
充実した2週間
以上、今回の活動の簡単な報告になります。
多くの国のレフェリーがこの合宿に参加をしたのですが、特に大きなケガもなく無事に過ごすことができました。
メディカル担当の我々にとってもホッとしていたところです。
今回はアシスタントレフェリーの選考だったのですが、今後は主審の選考も行われ、いよいよ本番モードに入っていきます。
今年6月には南アフリカでコンフェデレーションカップも行われます(残念ながら日本は参加できませんが…)。
W杯のリハーサルとしての意味合いもある大会です。
私もレフェリーサポートとして大会に参加する予定です。
またそちらの方もご報告をさせて頂きますので、楽しみにしていて下さい。
妻木充法
今回、レフェリーをサポートしたスタッフです。右から3番目が私(妻木)です。
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